役割や種類
がんの治療や研究を専門的に実施している医療機関をがんセンターと呼びます。国内にはいくつかのがんセンターが存在し、地域におけるがん治療の中核施設として機能しています。近隣の医療機関と連携しつつ高度な医療を提供し、地域住民への情報発信などを行います。また、がん専門の医師の育成など、重要な役割を担っています。
なお、国内におけるがん研究の専門施設はがんセンター以外にもあります。一般的にがんセンターと呼ばれるのは、「国立高度専門医療研究センター」「国立病院機構」「地方公共病院」の3つです。いずれも公的な病院であり、以前まではここに勤務する看護師は国家公務員や県の公務員扱いでしたが、現在の運営方法になってからは厳密にいうと公務員扱いではありません。とはいえ、待遇は公務員に近い内容となっていますので、がんセンターに転職する際は事前に確認しておきましょう。
がんに特化した医療機関
がんセンターは症例数の少ないがんの治療法の研究や新薬の臨床試験を主な目的としています。臨床試験とは新薬を厚生労働省に承認してもらうために治療を兼ねた試験を行いデータを収集することで、実際の患者に投与して結果を測ります。がんを発症した場合、多くの人は専門病院を受診したいと考えます。遠方から都心のがんセンターにわざわざ診療を受けにくる人も少なくありません。しかし、がんの治療は長期に渡るので、そのために毎回遠方からがんセンターに足を運ぶのは体力的にも経済的にも大きな負担となります。そこで大きな役割を担うのが地域のがん診療連携拠点病院です。がん診療連携拠点病院にはがんセンターから最新の治療法や新薬の情報提供が都度行われており、勤務する医師もがんセンター出身であるケースが多く、同水準の医療を受けることができます。
紹介状が必要
がんセンターを受診する際は原則として紹介状が必要です。その他に、検査データやがんと診断された根拠となる資料があると診療はスムーズに進みます。再検査の手間が省けるだけでなく、今後の治療方針を決める際にも役に立つでしょう。逆に、主治医の紹介状がないと受診を断られる可能性があります。受診できても特別料金が発生するケースもあるため、がんセンターでの受診を希望する患者に対しては、まず主治医に相談するよう促す必要があります。また、糖尿病や人工透析を受けている患者は、幅広い診療科を有する総合病院の方が適している場合もあります。